広井良典教授のエッセイが京都新聞夕刊（3月27日付）の「現代のことば」欄に掲載されました。

タイトルは「老年的超越」で、超高齢期のこころや意識のあり方についてスウェーデンの社会学者トーンスタムが唱えた「老年的超越」というコンセプト――80歳代ないし90歳代以降の高齢者においては、それまでとは異なる意識の変化が生じ、「物質主義的で合理的な世界観から、宇宙的、超越的、非合理的な世界観への変化」が起こるという把握――と、それに関する日本での調査や自らの介護経験にふれつつ、このような「自己を超える」志向性は、必ずしも超高齢期に限らず、若い時期を含め、人生に対する態度あるいは世界観にとってのヒントを含んでいるのではないかとし、「自我」が中心だった近代社会が成熟していく先に開ける、これからの時代の方向や地球環境問題などともつながる様々な広がりをもっていることを論じる内容となっています。