上田祥行特定講師らの研究が国際学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載されました。
上田祥行講師(筆頭・責任著者)、吉川左紀子教授(京都芸術大学)らの研究が国際学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載されました。
私たちが人間関係を構築する際には、初対面でもできるだけ最適な相手を選択することが重要です。これまでの研究では、一人の顔写真を提示してその人を判断するという比較的単純な方法が用いられ、短時間で判断するときも長時間かけて判断するときでも、一貫して「笑顔の人は信頼でき、魅力的である」と考えられてきました。しかし、日常生活では必ずしも一人一人と向き合って相手を判断する場面だけではありません。この方法を超えて、より日常に近い状況における選択を調べるため、本研究では向かい合う2人の顔を参加者に提示し、第三者の視点から他者を判断してもらうようにしました。3つの実験では、参加者は2人の人物のうち、どちらと一緒にいたいか、どちらがより信頼できるか、どちらがより魅力的かをそれぞれ判断しました。すべての実験において、画像は短時間(500ミリ秒)または長時間(5秒)呈示されました。その結果、3つの実験すべてで、画像呈示時間が短い場合、参加者は中立、悲しい、怒っている顔の人よりも、笑顔の人を選択する傾向がありました。一方、画像呈示時間が長い場合、顔の表情は判断に影響せず、モデルの中立的な顔から推定される性格特性が判断と関係していました。これらの結果は、向かい合う2人を第三者の視点から観察する場合、短時間で行われる直観的判断には表情の情報が用いられるが、長時間で行われる熟考的判断では表情よりも顔の形態がもたらす印象の情報が用いられることを示しています。
本成果は、2022年9月27日に国際学術誌「Frontiers in Psychology」にオンライン掲載されました。
論文情報:
Ueda, Y. & Yoshikawa, S. (2022). The effects of facial expressions on judgments of others when observing two-person confrontation scenes from a third person perspective. Frontiers in Psychology, 13:856336. doi: 10.3389/fpsyg.2022.856336
URL:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2022.856336/full
2022/10/21