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第8回身心変容技法研究会「教育と身心変容技法」が開催されました

8thzentai1.png2012年12月18日、第8回身心変容技法研究会「教育と身心変容技法」が稲盛財団記念館大会議室にて開催されました。
▽日時:2012年12月18日(火)13:00-17:00
▽会場:稲盛財団記念館3階大会議室
▽テーマ:「教育と身心変容技法」
▽日時:2012年12月18日(火)13時~17時
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
発表1:13:00~14:40
「わざの学習・学習のわざ」鈴木晶子(京都大学大学院教育学研究科教授・教育学)
発表2:14:50~16:30「『関係』をめぐる攻防-『わざ』の継承を支える『三者関係』」 川口陽徳(東京大学大学院教育学研究科博士課程・教育学)
総合討論:16:30~17:00
8thsuzuki.png 今回は「教育と身心変容技法」というテーマで、京都大学大学院教育学研究科の鈴木晶子教授と、東京大学大学院教育学研究科博士課程の川口陽徳研究員、ともに教育学を研究の場とするお二人が発表を行いました。
 発表1の鈴木晶子教授は、「わざの学習・学習のわざーTaktを手がかりに」を演題とし、感覚のわざ、触覚としての「タクト」から教育学の鍵的要素へと発展した「タクト」まで、そのなりたちや働き、わざとしての考え方について紹介。「触覚」「接触」を語源にもつタクトが18世紀には「人間交際の知恵・わざ」として注目され始めた社会的・文化的背景を解説すると共に、タクトに注目した思想家として、カントをはじめ、「教育的タクト」の概念を生み、教師の臨機応変な対応と判断を可能にするわざとしてのタクト論をもたらしたヘルバルトなどを紹介。今日では広くその名が普及した「タクト」について、教育学での実践方法論や継承の問題点などにふれながら「わざとしてのタクトは用いることで成功確率が高まる。わざの修練、考え方の総体として経験を積み様式化することでさらに磨かれる」と話しました。
8thtanatsugu.png 発表後のディスカッションでは、参加者が各々のタクトに対する感想や解釈についてコメント。「日本で最大のタクトを振る人は空海だと感じた。三鈷杵や五鈷杵などの『金剛杵』を実際に振ることで仏とつながり、万象の振動波数を変えようと試みた空海を思い出し、タクトを知ることで金剛杵の意義を知った。タクト論は単に教育学の問題ではなく、大変示唆に富むわざだ」(鎌田東二教授)、「タクトに対してのリズムという言葉について、クラゲスの話を想起した。リズムは自然界にもあるが、タクトは人為的で経験がベースとなる触覚ではないか」(棚次正和 京都府立医科大学教授)などのコメントのほか、「タクトは教育上教えられるもの?」(東京大学大学院人文社会系研究科 鶴岡賀雄教授)という問いに対して、「教育学でも技術として修練可能だという派と、ヘルバルトのようにある種”名人芸”でありながら日常で経験を積むことで人格の中に埋もれることで開花する、という主張もある」(鈴木教授)など、様々な内容で盛り上がりました。(発表資料はこちらからダウンロード可能です。
8thkawaguchi.png 続いて、発表2の川口陽徳研究員は、「『関係』をめぐる攻防-『わざ』の継承を支える『三者関係』」というテーマで研究紹介発表を行ないました。法隆寺の宮大工の師弟関係を例に挙げ、「わざ」の継承の営みを「三者関係」という視点で捉え、実在する宮大工師弟のやりとりと学びのプロセスを詳細に紹介。教育と継承(稽古)の違いについて解説、研究対象となった法隆寺宮大工師弟の出会いと立ち位置、実践の場での関係性、法隆寺という共同体の中核をはさんで師匠がどのようにふるまい、弟子がどのようにわざを体得していったか、具体的事例を豊富に交えながら『わざ』の継承関係と構造を考察・整理しました。川口研究員は「二者関係ではなく『継承』を支えるもう一つの関係項として、”共同体の中核”を捉えることで新たな問いが拓かれた。『先人ー共同体の中核ー継承者』の関係は、繰り返し問い直され、結び直される。この学びのダイナミズム(実践のダイナミズム)にのることが、共同体の内側に入り、そこにとどまるということであると考えている」と話しました。(発表資料はこちらからダウンロード可能です。
8thtsuruoka.png 報告後のディスカッションでは、「仏教におけるサンガ、僧の共同体とブッダの関係性に通じる。また自分が『超訳古事記』を出した際は自身が稗田阿礼(ひえだのあれ)になって口語訳をするというコンセプトで出した、語りの伝承の世界における関係性と通じる」(鎌田教授)、「(共同体の中核は)実体化されていないもののほうがしっくりくる。掴めない部分にわざの伝承があるのでは」(鈴木教授)、「建物としての法隆寺の上にイデア的なものがあり、それを感じて継承しているのではないか」(棚次教授)など、幅広い意見が交わされました。
以下、研究会ホームページに寄せた鎌田東二教授の報告コメントです。

8thkamata.png 「鈴木晶子氏の「わざの 学習・学習のわざーTaktを手がかりに」、 大変示唆に富むワザータクト論でした。「触れる知」としての触覚ータクトや共鳴・同調のことから展開されたので、身心変容に関わる感覚再編のことをいろいろと考えさせられました。特に「触覚問題」。また、わたしにとっては、タクト論から見ると、とりわけ、空海の存在意義の大きさと重要性と面白さが、違う角度から見えてきました。実際、「金剛杵」(三鈷杵や五鈷杵)は、密教タクトですから。その密教タクトを振りかざしながら、万象の振動波数を変えようと試みた空海の戦略・戦術と巧妙さに妙に感心してしまいました。いろいろと、大変刺激を与えられた時間でした。
 川口陽徳氏の「『関係』 をめぐる攻防-『わざ』の継承を支える『三者関係』」、 「わざの継承関係と構造」に関する新しい観点と構造的整理を提示した、きっちりとした理論展開でした。法隆寺の宮大工のわざの継承を事例に、師匠と弟子との間の「二者関係」からではなく、間に、というよりも、基底に、「共同体の中核」を置くことによって、ワザが個的人物間の継承ではなく、複合的で集合的な継承の中にあることを、明快に説き明かしてくれたと思います。
 宮大工のわざの継承からから始めて、サンガや禅や密教や聖徳太子信仰や稗田阿礼の 『古事記』の伝承のことまで、いろいろと考えさせられた時間でした。わたしにとっては、ワザ伝承と三者関係論から見ると、またもや、空海の存在意義の 大きさと重要性と面白さが、また違う角度から見えてきました。
 密教の灌頂、三密加持、行者と大日如来の間に介在する不動明王の存在が、別の角度 から見えてきました。また、書物論も大変興味深い問題でした。書物的継承と物的継承との違いとその底にあるもの。これまた、いろいろと刺激を与えられた時間でした。」
身心変容技法研究会ホームページ「研究問答」より)

■一般公開シンポジウム「第10回身心変容技法研究会『芸能と身心変容技法』」開催のご案内
2013年1月31日(木)、一般公開シンポジウム「第10回身心変容技法研究会『芸能と身心変容技法』」を稲盛財団記念館中会議室にて開催します。詳しくは下記案内ページをご覧ください。
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/event/2013/01/10_1.html
身心変容技法研究会HP
http://waza-sophia.la.coocan.jp/

2013/01/30

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