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京都大学こころの未来研究センター 国際シンポジウム 「こころの科学 3つの顔」 ―吉川左紀子教授 退職記念講演会―を開催しました

2020223日、京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホールにて「京都大学こころの未来研究センター 国際シンポジウム 『こころの科学 3つの顔』吉川左紀子教授 退職記念講演会」を開催しました。

このシンポジウムは、こころの未来研究センターの初代センター長 吉川左紀子教授(センター長在任期間2007年-2018年)の退職講演とあわせて実施されたものです。吉川教授の専門は認知心理学で、顔・表情認識など対面コミュニケーションを支える心理機能について長年研究してこられました。こころの未来研究センターの運営やセンターでの研究活動を通じて、基礎研究、学際研究とそれに基づく実践の緊密な連携の必要性を痛感したという吉川教授の発案で、「こころの科学 3つの顔」というテーマでシンポジウムを開催することとなりました。

当日は、河合俊雄センター長の挨拶につづいて、内田由紀子教授が吉川教授の経歴を紹介しました。

吉川教授の講演は『顔・表情が伝えるもの:基礎、学際、実践を結ぶこころの科学』という演題で行われ、マスク着用が表情認識に及ぼす影響、周囲の人たちの表情がものの選好判断に及ぼす影響、心理相談での対話にみられるカウンセラーとクライアントの対話形式の特徴や2者の身体同調など、吉川教授がこれまで発表してきた研究の内容を分かりやすく紹介されました。さらにご自身の研究生活を振り返り、基礎研究、学際研究、実践の3つをつなぐことの重要性を話されました。

続いて、1989年、吉川教授の英国での受け入れ研究者であったヴィッキ ブルース教授(ニューキャッスル大学心理学部教授)の講演は、『顔の認識研究の歴史:目撃証言の心理学から現在の学際的展開へ』という演題で行われ、法廷の目撃証言における顔認識にまつわる誤審の判例から、顔知覚研究の発展について話されました。

休憩を挟んだ後、イヴ ジネスト教授(ジネスト―マレスコッティ研究所所長、こころの未来研究センター特任教授)の講演は『ユマニチュード:3つの顔への哲学的な灯り』という演題で行われ、「見る、話す、触れるコミュニケーション」をベースにしたケアや、学際研究に必要な哲学について、実践家の視点から話されました。

ディスカッションでは、山極壽一京都大学総長と下條信輔教授(カリフォルニア工科大学教授、こころの未来センター特任教授)がディスカッサントとして加わり、こころの科学の3つの側面について、3人の講演者と議論しました。

最後に広井良典副センター長がシンポジウムの内容を総括し、吉川教授への感謝の意を述べてシンポジウムを閉会しました。

国際シンポジウムに続いて国際交流ホールで行われた祝賀会では、井村裕夫第22京大総長(現稲盛財団相談役)の乾杯のご発声、山内修一京都府副知事からお祝辞に続いて、長尾真第23代京大総長、松本紘第25代京大総長(現理化学研究所理事長)、丸山登公益財団法人上廣倫理財団専務理事・事務局長、安西祐一郎日本学術振興会顧問、出口治明立命館アジア太平洋大学学長、尾池和夫第24代京大総長(現京都芸術大学学長)からお祝いの言葉をいただき、吉川教授や講演者の先生がたを囲んで、和やかな歓談のひと時をもちました(出席者119名)

〇 吉川左紀子先生からのメッセージ

 新型コロナウィルスによる活動自粛が始まる直前の落ち着かない時期でしたが、国際シンポジウムと祝賀会に多数の皆さまにお越しいただき、こころから感謝しております。シンポジウム当日にお配りした冊子「こころの未来へ」(京都大学こころの未来研究センター編)は、まだ余分がありますのでご希望の方は住所・氏名を下記までお知らせください。

本誌には、私の研究について紹介した論考、こころの未来研究センターでの活動についての記事、7名の元京大総長との対談など掲載しました(全235ページ)。

申込先:京都芸術大学法人事務総局秘書課 hishoka*office.kyoto-art.ac.jp (*を@に変えてください。)

なお、私は4月から瓜生山学園京都芸術大学副学長、同大学文明哲学研究所長、京都大学フィールド科学教育研究センター特任教授として、新しい仕事に取り組んでいます。 

 

[DATA]

▽日時:2020223日(日) 13001700(受付開始1230
▽場所:京都大学 百周年時計台記念館 百周年記念ホール
▽参加者数:364
▽プログラム13:00-13:05 開会挨拶 
       河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター・センター長)
13:05-13:55 講演①「顔・表情が伝えるもの:基礎、学際、実践を結ぶこころの科学」
       吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター・特定教授)
13:55-14:35 講演②「顔の認識研究の歴史:目撃証言の心理学から現在の学際的展開へ」
       Vicki Bruce(ニューキャッスル大学心理学部・教授)
14:35-14:55 休憩 
14:55-15:35 講演③「ユマニチュード:3つの顔への哲学的な灯り」
                Yves Gineste(ジネスト―マレスコッティ研究所・所長, 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
15:35-16:55 ディスカッション 
       山極壽一(京都大学・総長)、下條信輔(カリフォルニア工科大学 ・教授, 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)、Vicki Bruce、Yves Gineste、吉川左紀子
16:55-17:00 閉会挨拶
                      広井良典(京都大学こころの未来研究センター・教授)
総合司会 内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター・教授)

 

2020/06/29

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