学術広報誌「こころの未来」第26号が刊行されました
学術広報誌「こころの未来」第26号が刊行されました。今号の特集は「正念場」です。
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ごあいさつ
「正念場」というのが、もともと仏教用語で「雑念を払い仏道を思い念ずることで、正しい真理を思うこと」で、それが「歌舞伎・浄瑠璃などで、主人公がその役の本質的性格(性根)を発揮させる最も重要な場面」という意味になり、さらに転じてその人の真価を問われるような重大で危機的な状況という意味になったのは、多くの読者にとってはじめて知ることではなかろうか。心理療法では、クライエントが問題を抱えて訪れ、時には危機的状況を迎えるなかで、その人の本質的あり方が現れてきて変化や解決に至ることが多い。その際に本人だけではなくて、セラピストも含めてまわりの人たちの本質的あり方も顕わになり、助けになったり妨害になったりするのが興味深いところである。貴重な正念場の体験を寄稿し、共有していただいた方々に感謝したい。また当センターも改組されるが、引き続き「こころ」ということばと本誌『こころの未来』を大切にしていきたい。
2022年 3月 京都大学こころの未来研究センター長 河合俊雄
2022/03/23