河合教授と畑中助教が “4th Joint Conference of the IAAP and the IAJS” で講演・発表をおこないました
2015年7月9日〜12日、アメリカ・コネチカット州のイェール大学で開催された “4th Joint Conference of the IAAP and the IAJS” で河合俊雄教授が全体会で講演、畑中千紘助教が分科会で発表しました。
同カンファレンスは、ユング派分析家の学会・組織である国際分析心理学会(International Association for Analytical Psychology)と、ユング心理学に関する研究学会である国際ユング研究学会(International Association for Jungian Studies)が3年に1度合同で開催する大会です。今回の全体テーマは、”Psyche, Spirit and Science: Negotiating Contemporary Social and Cultural Concerns” でした。
河合教授は、”Loss and recovery of transcendence in Jungian psychology and Hua Yen (華厳) School of Buddhism” という演題で講演しました。ユングは赤の書のなかで、神話の喪失と神の再生を体験し、身体的なイメージを通して超越を体験することを経て、神がファンタジーとして内面化されていきます。このような超越と喪失の統合のような体験は、対立するものを含みこむPleromaという概念で捉えられます。こうした考え方は、仏教の宗派のひとつである華厳の考え方に通じます。後半ではこのことを、個別具体的な事物が相互に関係し合い、無限に重なり合っていること四法界という4つの実相に対する見方、真理そのものが働きを起こす「性起」などの概念と関連づけながら考察しました。
畑中助教の発表は、”Transformation of Jungian psychotherapy in the age of the loss of individual boundary and self-reproduction”というもので、現代における物語の意味を問い直すものです。この10年の間に(一見)想像力や意味を構成する力が弱まっているというこれまでの研究プロジェクトの成果を踏まえ、現在高い人気を獲得しているSNSや小説を題材に現代を生きる人にとって自分の物語がどのような形でつくられているのかを分析し、またその展開の可能性について議論しました。
4th Joint Conference of the IAAP and the IAJS / IAAP Website
Conference Program (PDF)
(報告:畑中千紘助教)
2015/07/23