河合教授、梅村研究員らの論文が『日本心療内科学会誌』に掲載されました
河合俊雄教授、梅村高太郎研究員らの論文が2015年11日、『日本心療内科学会誌』(Vol.19 No.4 2015)に掲載されました。
![1601kawai_umemura_journal.png](http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/news2/1601kawai_umemura_journal.png)
○概要:
代表的な内分泌・代謝系疾患である甲状腺疾患は,時に精神症状を伴うことで知られています。本研究では,こころの問題も含めたよりよいケアのあり方を検討する一助として,カウンセリング室を併設する甲状腺専門病院において,初診患者を対象に半構造化面接を行い,その心理的特徴やカウンセリングへのニーズを探りました。
面接記録の分析から,甲状腺疾患群には否定的な感情や葛藤を示しにくく,むしろ肯定的な自己関係・他者関係を語る傾向が強いという特徴が見出されました。その一方で,肯定的な語りの背景に自覚のないまま身体症状や精神症状が重症化している事例や,明確な悩みとしては自覚されていないけれども漠然と話を聞いてほしいというニーズを示す事例が報告されました。これらの結果から,甲状腺疾患群においては,心身の苦しみや悩みが”ない”のではなく,語りの次元に現れてきにくい事例群の存在が示唆されました。このような事例群に対しては,治療者側が,表面化しにくい彼らの苦しみや悩みを見通し,必要に応じて適切にカウンセリングに導入することが大切と考えられました。
2016/01/27