第3回京都大学ブータン研究会が行われました。
【日時】 2012年10月4日(木)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表題目】「ブータンの歴史と仏教」
【発表者】 熊谷誠慈氏(京都女子大学発達教育学部・講師、京都大学こころの未来研究センター・特任准教授)
【コメンテーター】小西賢吾(日本学術振興会特別研究員PD・大谷大学)
【発表概要】
ブータン仏教は古代から現在まで長らくブータン人たちの精神的基盤であり続けてきたため、ブータンではいたるところで仏教との関わりが見うけられます。そこで今回は、チベット・ブータン仏教専門家の熊谷誠慈氏により、ブータンの歴史に即しながらブータン仏教の概説が行われました。
熊谷氏は、ブータンという国の歴史について、1.前期伝播期(7~9世紀)、2.後期伝播期(11~16世紀)、3.ドゥク派政権期(17~19世紀)、4.ブータン王国期(20~21世紀)という4つの時代区分を提唱しました。さらに同氏は、ブータンが独立国家として独自のブータン仏教を構築したのは17世紀半ば以降であり、それ以前の仏教はあくまでチベット仏教の一派と考えなければならないことから、ブータンおよびブータン仏教は、時代的な流れに加え周辺地域との関係性の中で捉える必要があると訴えました。
質疑応答中には、チベットとブータンとでどのような類似性・相違性があるのかといった質問から、仏教的な視点に加えヒマラヤ文化および個々の地域の特性にも着目する必要があるという提言にいたるまで、異なる領域の専門家たちが集まったことにより多角的な議論が行われました。
2012/10/12