京都大学 人と社会の未来研究院「社会的共通資本と未来」寄附研究部門創設記念シンポジウム Beyond Capitalism 〜拡張する社会的共通資本〜 を実施しました:2022年7月23日
京都大学 人と社会の未来研究院「社会的共通資本と未来」寄附研究部門創設記念シンポジウム
Beyond Capitalism 〜拡張する社会的共通資本〜の開催報告
京都大学 人と社会の未来研究院に「社会的共通資本と未来」寄附研究部門(以下、本研究部門)が創設されました。本研究部門は、宇沢弘文氏(うざわ・ひろふみ)が提唱した「社会的共通資本」の理念を気候変動や格差拡大など現代社会の課題解決につなぎ、学問分野の垣根を越えてさまざまな社会的セクターと連携し、未来に向けた社会的インパクトの創出を図ることをミッションとしています。
2022 年 7 月 23 日、本研究部門の発足を記念するシンポジウムをオンラインと対面のハイブリッド形式で開催しました。4 時間に及ぶ長時間にも関わらず併せて 400 名を超えるお申し込みをいただき、関心の高さが伺われました。
※当日の詳細レポートはこちらからご覧いただけます。
※アーカイブ動画をyou tubeで公開しております。
①オープニングトーク、基調講演
https://www.youtube.com/watch?v=B8XZyM1ASgA
②特別講演
https://www.youtube.com/watch?v=86tJeOaLvmg
③パネルディスカッション、ラップアップ
https://www.youtube.com/watch?v=eIwuuIzZJPI
シンポジウムは、オープニングトークとして、本研究部門の発起人のお一人でもある京都大学久能祐子理事の挨拶から始まりました。「創設を祝して」、本研究部門の創設経緯や理念、ビジョンについて触れました。
続いて本研究部門の発起人のお一人でもある、宇沢国際学館 代表取締役占部まり氏が「社会的共通資本とは」というテーマで講演を行いました。社会的共通資本とはどのような考え方なのか?本研究部門に期待すること何か?について触れました。
オープニングトーク後には、舩橋真俊特定教授が、「協生農法と拡張生態系 〜自然-社会共通資本のビジョンと本研究部門の方法序説〜」というテーマで基調講演を行いました。『成長の限界』の背景にある食料システムの問題、拡張生態系を目指す「協生農法」、農学と生態学の統合理論、協生農法のスケールアウト、Nature-based Solutions、環境負荷改善の手がかりとなる「エコロジカル・フットプリント」、社会的共通資本を通じた自然-社会共通資本の最適化など多岐に渡るテーマに触れ、本研究部門の今後の方向性を提示しました。
続いて、帝京大学小島寛之教授、京都大学広井良典教授、信州大学社会基礎研究所特任講師/京都大学経営管理大学院博士後期課程 渡邉文隆氏が講演を行いました。
小島寛之教授は、「経済学からみる社会的共通資本」というテーマで、社会的共通資本の理論とは何か、公共財とどう違うのか、社会的共通資本の理論は実現可能か、社会的共通資本の理論の近未来について講演を行いました。
広井良典教授は、「ポスト資本主義のビジョン」というテーマで、脱成長と人類史、ローカリゼーションとコモンズ・生命経済、資本主義・社会主義・エコロジーのクロス、今後本研究部門で取り組んでいきたいことについて講演を行いました。
渡邉文隆氏は、「寄附と利他行動の未来」というテーマで、寄付とは何か、寄付の予測可能性、寄付と社会関係資本の関わり、寄付の未来について講演を行いました。
その後、登壇者全員で、「理論と実装の両輪の意義」というテーマでパネルディスカッションを実施しました。それぞれの講演内容を踏まえた意見交換や人材育成・教育のあり方など、様々な角度からのディスカッションを行ったと同時に、会場からの質問にもお答えする時間を取りました。
パネルディスカッション後には、ラップアップとして、京都大学村井暁子客員准教授より、「そしてともに進む」というテーマで、ともに研究・実装をしていくコミュニティを広げていきたいというメッセージが出されました。
最後に、京都大学副学長・人と社会の未来研究院長の宇佐美文理教授より閉会挨拶が行われました。シンポジウム全体を通じた感想、人と社会の未来研究院で本研究部門に取り組む意義、今後へのメッセージを交えた総括を行いました。
司会進行:川村健太特定准教授
本研究部門は、引き続き、社会的共通資本のあり方とその未来について、学問分野横断的な研究を推進していきます。また豊かな未来社会の実現に向けた提言や構想を積極的に行うと同時に、研究成果を踏まえた具体的な社会実装にも展開し、これらを通じた社会的インパクトの創出を進めていきます。
今後も、対話イベントなど、継続して寄附研究部門としての発信も予定しておりますのでご期待ください。(内容は確定次第お知らせいたします。)
2022/09/21