河合教授の論文が『Spring Journal』に掲載されました
河合俊雄教授の英語論文が、ユング心理学誌 “Spring: A Journal of Archetype and Culture Vol.88 Winter 2012” に掲載されました。
Toshio Kawai (2013) “The 2011 earthquake in Japan: Psychotherapeutic interventions and change of worldview” Spring 88, 47-60.
Jung believed that peoples’ worldview and global psychology can be studied and changed through individual psychotherapy. In his concept of the collective unconscious the collective dimension can be found in the individual psyche. If this is the case, our psychological relief work with the victims of the earthquake can shed light on the changes in the worldview.
(”The 2011 earthquake in Japan: Psychotherapeutic interventions and change of worldview” 論文より抜粋)
環境災害と集合的トラウマというテーマに沿った論文・論考が集まった今号のSpring Journalで、河合教授は、東日本大震災の被災地で取り組んだこころのケアの活動やこれまでの研究をもとに、現代の災害と人々の世界観の変容、そこから生まれる新たな学びと展開について考察しています。
河合教授は論文について、次のようにコメントしています。
”これまで震災のこころのケアを続けてきたなかで、震災・津波・放射能・トラウマなどの「大きな物語」に振り回されるのではなく、個々人の具体的な問題である「小さな物語」に関わることがこころの安定のためには重要であることが確かめられてきました。しかし今回の震災によって、これまでの世界観が根幹から揺るがされたのは事実です。この論文は世界観や大きな物語の変容に取り組んだもので、これまでの地震を扱った「遠野物語」の一話、村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』を手がかりにして、「無常」というあり方では対処しきれないことを指摘したものです。”
なお、この論文で紹介されている被災地での心理療法にふれた内容を『箱庭療法学研究』第25巻第2号の河合教授による巻頭言「震災のこころのケアからみた心理療法・箱庭療法」でお読みいただけます(日本語・PDF)。下記リンクからご覧ください。
「震災のこころのケアからみた心理療法・箱庭療法」箱庭療法学研究vol.25(2), pp.1-2」(J-STAGE ウェブサイト/PDFファイル)
2013/04/08