広井教授が座長を務めた東京・荒川区の「自然体験を通じた子どもの健全育成研究プロジェクト」の中間レポートが公表されました
広井良典教授が座長を務めた「自然体験を通じた子どもの健全育成研究プロジェクト」(東京都荒川区自治総合研究所)の中間レポートが公表されました。
東京都荒川区では2005年に独自の地域幸福度指標「GAH(グロス・アラカワ・ハピネス)」を提唱し、2009年には荒川区自治総合研究所を設立して幸福度指標に関する研究・政策を進めるとともに、その関連で「子どもの貧困」に関する調査等をおこなってきました。今回の研究はそうした流れの一環として、子どもの成長や現役世代、高齢者を通じて「自然」との関わりが人々の幸福にとって重要な意味をもつのではないかとの問題意識の下、関連の実証的調査や政策提言をおこなったものです。
具体的には、荒川区の実施する小学生向けの自然体験に関する移動教室の前後で調査を実施し、生きる力や幸福度実感の変化を分析するほか、現行の自然体験関連施策や人材育成をめぐる課題等を吟味する内容となっています。
アメリカで2005年に出された『あなたの子どもには自然が足りない』(著者リチャード・ルーヴ)という著作が多くの国でベストセラーとなり、そこでは「自然欠乏障害(Nature Deficit Disorder)」というコンセプトが提起されるとともに、子どもあるいは広く現代人は自然とのつながりが根本的に不足しており、それが様々なマイナスの影響を及ぼしているとの議論が展開されるなど、自然との関わりのもつ意味や重要性は新たな文脈で注目されてきています。
一方、幸福度指標を含めて「幸福」をめぐるテーマへの関心が高まっていますが、以上の二者、つまり「自然」と「幸福」の両者の関わりを、政策を含めて正面から主題化した調査研究はこれまであまり見られず、本レポートはそうした面での独自の意義をもっていると言えます。
中間レポートは概要、全文がそれぞれPDFで公開されています。下記画像をクリックして閲覧ください。また、冊子版の有償販売もおこなわれています。荒川区自治総合研究所のサイトをご参照ください。
中間レポート概要版PDF ※クリックすると開きます
中間レポート前文PDF ※クリックすると開きます
研究プロジェクト報告書 | 荒川区自治総合研究所ウェブサイト
2016/07/09