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2019年第1回こころ研究会で吉岡洋特定教授が発表を行いました

 2019年3月13日、第1回こころ研究会が稲盛財団記念館3階小会議室Ⅰにて開催されました。本年度の京都こころ会議のテーマ「こころとArtificial Mind(仮)」に沿って、当センターの吉岡洋特定教授が「The mind, “artificial” or “artistic”? —こころと技術(アート)の奇妙な関係—」と題した発表を行いました。

吉岡洋特定教授


ディスカッションの様子


 吉岡特定教授の発表では、まず、イマニュエル・カントにおける自然と技術の概念を考察しながら、自然(The Natural)と人工(The Artificial)は、対立するものではなく、相互嵌入する概念であることが提唱されました。フランケンシュタインの既成イメージのように、西洋文化圏では、肯定的な意味である“Artistic” (=芸術的)に対して、 “Artificial”(=人工的)という言葉が、しばしば恐れや忌みの対象を表してきました。発表では、こうした思想文化に対して、自然と人工の相互嵌入が顕著な日本の風土の特異性について、現代の日本人アーティストらによる作品を例にしながら、考察が展開されました。発表の後半では、「AIは人間を超えるか?」という問いが提起されました。合理的で知覚可能な世界で人間が行う活動のほとんどは、芸術も含めAIに置き換え可能であり、その意味では人間がすでにAIであること、しかし知覚できず存在しないものに反応する“Artistic Mind”について考えると、「AIは人間を超えるか?」という問い自体がナンセンスなものとなる、という考えが最終的に示されました。  発表に続いて行われてディスカッションでは、“Artistic Mind”と、ディープラーニングやディープドリームといった今日のAI技術との差異はどこにあるのか、という問題が検討されました。また、整形や、iPS細胞、人形浄瑠璃、技術を忘れるものとしての名人の定義など、種々の事例が、自然と技術という観点から論じられ、西洋と日本との文化差をめぐって積極的に議論が交わされました。

<報告:中谷森 リサーチ・アシスタント>

2019/04/03

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