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佐伯特任教授による「こころの思想塾:現代文明を考える~20世紀初頭を振り返りつつ~」を開催しました

佐伯啓思特任教授が講師兼オーガナイザーを務める「こころの思想塾」が、2019年5月15日、5月29日、6月12日、6月26日の4回にわたって稲盛財団記念館3階小会議室1で開催されました。

 

今年で5年目を迎える「こころの思想塾」。今年度前期のテーマは「現代文明を考える~20世紀初頭を振り返りつつ~」でした。

佐伯先生は、第一回と第二回の講義を担当されました。

思想塾の開催時期がちょうど新しい元号になったばかりだということもあり、「令和」から「平成」を振り返ることから講義が始まりました。「平成」という時代はちょうど「冷戦以降」の始まりとともに幕を開けました。それはグローバリズム(市場原理主義)、リベラル・デモクラシー(普遍主義)、テクノロジズム(科学的合理主義)が世界的に加速した時代です。今日、深刻な金融危機などによって世界経済は不安定化し、民主主義はポピュリズムによって機能不全に陥る一方、AI革命と呼ばれる情報技術のイノベーションが無批判的に礼賛される事態が生じています。文明論的に見れば、これは「全般的ニヒリズム」の状況であると言えるでしょう。だとすれば、それと対峙するには、グローバリズムやリベラル・デモクラシー、テクノロジズムというものをもたらした原因を訪ねる必要があります。それが「近代主義」です。西洋が「近代主義」という問題に本格的に直面したのが20世紀初頭であることを思い起こせば、われわれを取り巻く問題状況を考えるには、まずそこに立ち戻って、そこから再考してみる必要があるでしょう。

―――以上が講義の趣旨のごく簡単なまとめです。

第三回は、ゲストスピーカーの金澤洋隆氏(国際高等研究所)が講義をしました。タイトルは、「シュトラウス政治哲学における近代性の問題――作りし時代に来たる、忘却の自然――」です。レオ・シュトラウスとは、20世紀にアメリカで活躍した政治哲学者ですが、彼もまた、西洋における「近代」という問題を考え抜いたひとりです。シュトラウスは古典古代のテキストを読解することで、その問題に対峙することを試みました。金澤氏の発表では、「伝統なき哲学的懐疑はニヒリズムに陥る」こと、そして、「ソクラテス哲学からの近代性回避の可能性」、が結論として提出されました。

第四回は、特定研究員の下村智典がゲストスピーカーとして講義をしました。タイトルは、「現代文明論としてのプラグマティズム」です。プラグマティズムとは19世紀末頃にアメリカで生まれた哲学・思想です。アメリカは、現代のグローバリズム、リベラル・デモクラシー、テクノロジズムを先導するという意味で「近代主義」の旗手なのですが、時代を遡れば、アメリカの内部において「近代」という問題性を批判的に捉える試みがなされていました。それが、「近代主義」への対抗としての「プラグマティズム」です。発表者の下村は、結論として、プラグマティズムが現代文明を問い直す考え方になりうることを提示しました。

(報告:下村智典特定研究員)

〇受講者の感想(開催後のアンケートから抜粋)

・「文明論の難しさを痛感した。」(大学生)

・「大変刺激的でした。もっと機会があれば参加したいです。」(研究者)

・「自分自身、真正面から今、私たちが生きる現代社会を”文明的”に考えた経験がなく、この度の講義を受けて初めて社会に対して、現象に対して、遠いところから見つめる、考えるようになりました。哲学は答えがなく、経験や歴史から学びを深めていく学問だなあと感じたので、その学問を語りながら追及していくという行為が非常に興味深いです。」(大学生)

・「物質学や地球物理学、災害科学、防災・減災の分野で仕事をしてきた者にも意義深いものでした。人間社会・文明の来し方、行く末は上述の分野の研究・教育においても重要な事柄です。」(研究者)

・「大変勉強になりました。脳みそがフル回転の4回でした。久しぶりに哲学的思考の渦の中でもまれて、脳も精神も活性化したような気がします。ありがとうございました。是非また参加させていただきます。」(教育関係者)

 

 

 

2019/09/24

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