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河合俊雄教授が監修を務めた『近代心理学の歴史』が出版されました

河合俊雄教授が監修をおこなったETH レクチャー第1巻1933-1934『近代心理学の歴史』が、2020年8月に創元社より出版されました。

本書は、ユングがチューリッヒ大学を去った後、1933年~1941年まで、チューリッヒのスイス連邦工科大学(ETH)で再び私講師として講義を行った際の、初年度の講義録になります。今回、日本での翻訳書の出版にあたって、河合教授は監修を務め、まえがきを執筆しています。

教授はまえがきの中で、ユングが解離現象に興味を抱き、本書の中心としても、夢の内容が現実になったり、何かの霊に取り憑かれたりといった解離現象を呈する二事例に基づいた事例研究という方法論が用いられていることに注目しています。

近代以前の時代は心理的な問題が、例えば占星術のように物や星など外のものに投影されたり、その答えが宗教によって提供されていたのに対し、近代に入ると人間を主体としてこころの問題として捉えようとの発想が始まり、これが近代心理学の誕生ではないかと教授は論じています。そのため近代では、霊に取り憑かれることも症状として扱われるようになりますが、ユングが近代心理学の特徴とした「内なる〈私というもの〉について検討してみる」過程は、必然的にまったく私とは異なるもの、無意識との関係を持つことに繋がっていくのではないかと教授は考えています。

教授は、この講義が一般の人々も参加可能なもので、ユングが自分の心理学を、あまり自身の用語や理論を使わずに論じていたことにふれ、本書がユングの著作と思想を見直し、新たな側面を発見する機会となればとまえがきを終えています。

 

「私は、無意識内のイメージに心を奪われていた最中に、(一九〇五年以来)八年間にわたって私講師として講義をしてきた大学を去る決心をした」と『ユング自伝』に記されている。それはチューリッヒ大学の精神科におけるアカデミックなキャリアを続けるか、無意識との対決という仕事に取り組むかという選択に迫られてのことであった。ユングは後に『赤の書』として世に知られる、無意識のイメージを積極的に喚起して、それとの対話を行うという内的な作業の方を選び、それはこれまでの連想実験を中心とした精神医学での業績とはまったく異なる、無意識から生じてくる神話的なイメージをめぐる独自の心理学の展開となったのである。

アカデミズムをユングが去る決断をしたことは有名ではあるけれども…
(「監修者まえがき/河合俊雄」より)

 

出版社の書籍ページでは、監修者によるまえがき、ユングの孫であるウルリッヒ・ヘルニイによるまえがき、第一講を読むことができます。
https://www.sogensha.co.jp/tachiyomi/4114

 

 

○書籍データ
ETHレクチャー 第1巻 1933-1934 近代心理学の歴史
著:C・G・ユング
編:E・ファルツェーダー
監修:河合俊雄
訳:猪股剛、小木曽由佳、宮澤淳滋、鹿野友章
出版社:創元社(2020年8月4日)
単行本: 360ページ
ISBN-13: 978-4-422-11733-1
出版社の書籍ページ https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4114

2020/08/04

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