地域企業振興協会研修会にて河合俊雄センター長が講演を行いました
2020年7月30日、からすま京都ホテルで開催された地域企業振興協会研修会にて、河合俊雄センター長が「コロナの危機へのこころの受けとめ方:文化・組織・個人の視点」と題した講演を行いました。
河合教授は、新型コロナウィルスの流行が社会に与えつつある影響、とりわけそこに見られる文化差の問題をまず挙げ、現在の社会状況のなかで浮かび上がってきた日本特有の文化的・心理的背景についての説明を行いました。河合教授によれば、日本文化のこころを読み解くキーワードとして、「曖昧さ」や「相互依存的自己」、「母性原理」、「無常」などを挙げることができます。また、ポストコロナ社会のあり方として、地方分散が重要になってくるとしつつ、こころの未来研究センターが開始した「LINEこころの相談室」の取り組みに触れ、オンライン技術などを用いて「遠方とつながる」こともまた今後鍵を握ってくるとの見方を述べました。
講演の後半では、日本に伝わってきた疫病にまつわる神話や逸話、また東日本大震災後の心理療法の事例が紹介され、人間のこころがトラウマから回復する過程においては、大きな物語よりも小さな物語が重要であるという点が指摘されました。そのうえで河合教授は、大きな物語を築くことよりも、個人個人が「ニッチな物語」を見つけていくことが、コロナ禍におけるこころのケアにとって一つの糸口になるだろうという見解を示しました。
2020/08/04