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2020年第5回こころ研究会で熊谷誠慈准教授が発表を行いました

 2021年1月5日、第5回京都こころ会議研究会が稲盛財団記念館3階中会議室にて開催されました。本年度の京都こころ会議のテーマ「こころとコロナ危機」に沿って、熊谷誠慈准教授(京都大学こころの未来研究センター)が「仏教的こころ観からコロナ危機を考える」と題した発表を行いました。研究会には8名が出席し、またZoomでの同時配信を通じて4名が参加しました。

 

 発表では、まず仏教を中心とする文献学の観点から、精神性という意味での心の概念が発達したプロセスを概観し、異なる文化の壁を超えて人間の心を理解することの可能性と意義が示されました。続いて熊谷准教授は、仏教の煩悩の考えに基づいて、昨今のコロナ危機においてしばしば問題視されてきた人々の行動を解説しました。その上で、叡尊と忍性によるハンセン病患者の救済や、チベットのマイノリティー宗教であるボン教の事例が紹介され、仏教から「弱者」として生きる知恵を学ぶことが重要であるという点が示されました。結論では、自己と他者の弱さを受け入れて生きる知恵を仏教から学ぶことで、コロナ危機を抱える社会でのより良い生き方を考えることが可能になるのではないか、という提言が示されました。

 続くディスカッションでは、日本の仏教と他地域の仏教との比較にみる仏教教義の多様性や、仏教哲学における個人と社会の関係性とコロナ社会との繋がり、また日本における個人と集団の関係性といったことについて積極的に議論が交わされました。

 

2021/01/28

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