齊藤章江研究員・佐藤弥特定准教授・吉川左紀子特定教授が執筆した論文が出版されました
齊藤章江研究員・佐藤弥特定准教授・吉川左紀子特定教授が Royal Society Open Science に執筆した論文が出版されました。高齢者は幸福表情の検出があまり速くないことを解明しました。
Saito, A., Sato, W., & Yoshikawa, S. (2020).
Older adults detect happy facial expressions less rapidly.
Royal Society Open Science, 7, 191715.
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.191715
【概要】
高齢者は幸福表情の検出があまり速くない
視覚探索パラダイムを用いた先行研究から,若年者は中性表情よりも怒りや幸福のような感情表情を素早く検出することがわかっている。しかしながら,高齢者では感情表情の検出の速さを中性表情と比較した研究はなく,高齢者も若年者と同様に感情表情の検出が速いのかどうかはわかっていない。そこで我々は,顔の視覚的特徴を統制している中性表情を用意し(逆表情と呼ぶ),これと普通の感情表情の視覚探索課題での検出の速さを比較する実験を実施した。
実験は高齢者群と若年者群で実施し,年齢によるパターンに違いがあるかどうかを検討した。実験では,普通の怒り,幸福表情とそれに対応する逆表情の怒り,幸福表情をターゲットとした。
その結果,両年齢群ともに普通の怒り表情の方が逆怒り表情よりも素早く検出したことがわかった。一方,年齢群での違いも見られた。若年者では普通の幸福表情の方が逆幸福表情よりも素早く検出されたが,高齢者ではそのような違いは見られなかった。
この研究の結果から,高齢者は正面に現れていない幸福の表情を検出し,注意を向けるのが簡単ではないことが示唆される。
2020/03/26