こころの未来研究センター研究報告会2018「つなげて見るこころの科学」を開催しました
2019年1月13日、こころの未来研究センター研究報告会2018「つなげて見るこころの科学」を開催しました。 まず3名の研究者が報告を行い、続くポスターセッションでは、2018年にセンターが取り組んだ「教育プロジェクト」「研究プロジェクト」「実践活動」「社会発信」「一般公募プロジェクト」の研究成果を32枚のポスター発表で報告し、その後、ディスカッサントを交えて議論を深める形で進められました。
はじめに河合俊雄センター長が、「センターは文理融合、幅広く研究をしていますが、今回は『つなげて見るこころの科学』というテーマのもと、認知科学、社会心理学分野を中心とした、まとまりのある報告会です」と挨拶しました。
報告1では、佐藤弥特定准教授が、「社会的相互作用と扁桃体のつながり」というテーマで、2つの機能的脳画像(fMRI)研究を紹介し、扁桃体と他の脳領域をつなぐネットワークが社会的相互作用において重要な役割を果たしていることを報告しました。
報告2では、中山真孝特定助教が、「データで見る企業風土と幸福」というテーマで報告し、日本の企業で働く人々を対象とした調査結果の分析から、日本人の精神性のベースとなる「協調性」の上に、グローバル化の中で獲得された「独立性」があるとする「二階建ての家モデル」を提案しました。
報告3では、上田祥行特定講師が、「環境とつながるモノの見方・考え方-こころワールドマップ作成の試み―」というテーマで、日本とアメリカ、カナダ、台湾で行った心理実験から、低次の視知覚情報処理にも文化的環境が影響していること示す結果を報告しました。
今回からの新しい試みとして、ポスターセッションの前に、センター研究者12名が各自の研究プロジェクトについて1分間ずつダイジェストで紹介するリレー報告を行い、続いてそれぞれのポスターの前で、センター内外の研究者や学生らと活発にディスカッションを行いました。
3つの研究報告に対するディスカッサントには湯本貴和京都大学霊長類研究所長と、橘木俊詔京都大学名誉教授をお迎えし、登壇者、聴講者を交えた討論、質疑応答がおこなわれました。
最後に、司会進行を務めた吉川左紀子教授が「この報告会は、違う分野の先生方やご参加の皆様のご意見をもとに議論を深め、そこからヒントをいただいて、これからの研究に活かしていくことが目的でもあります。本日、皆さんからいただいたコメントを糧に、さらに研究を進めていきます。」と挨拶し、2018年度の研究報告会を終了しました。
[開催案内]
[DATA] こころの未来研究センター研究報告会2018「つなげて見るこころの科学」
▽日時:2019年1月13日(日)9:30~13:20
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室(ポスター会場:大会議室)
▽対象:研究者、学生
▽プログラム
9:30 – 09:35 開会の挨拶 河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター 教授・センター長 )
9:35 – 10:10 研究報告①「社会的相互作用と扁桃体のつながり」佐藤弥(京都大学こころの未来研究センター 特定准教授)
10:10 – 10:45 研究報告②「データで見る企業風土と幸福」中山真孝(京都大学こころの未来研究センター 特定助教)
10:45 – 11:20 研究報告③「環境とつながるモノの見方・考え方-こころワールドマップ作成の試み―」上田祥行(京都大学こころの未来研究センター 特定講師)
11:20 – 11:35 こころの未来研究センター研究プロジェクトの紹介
11:35 – 12:15 ポスターセッション + 休憩
12:15 – 13:15 ディスカッション ディスカッサント: 湯本貴和(京都大学霊長類研究所長・教授)、 橘木俊詔(京都大学名誉教授、京都女子大学客員教授)
13:15 – 13:20 閉会の挨拶 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター 教授)
▽参加者数:53名
2019/01/18