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『ミネルヴァ通信「究」』に河合教授の連載第36回が掲載されました

 ミネルヴァ書房の発行する月刊誌『ミネルヴァ通信「究」(きわめる)』2019年8月号に、河合俊雄教授の連載「こころの最前線と古層」が掲載されました。  

 今回のテーマは「ネットと身体・異界」です。  

 今回の連載では、ネットで行う心理療法の中での身体と場所の持つ意味を考察しています。ネットでの心理療法が可能になると、私たちは場所に縛られることがなくなり、セラピストにもクライエントにも、在宅心理療法が可能になっていきます。こうした現代のネットによる心理療法では、特に身体と場所の意味が大きく変化していくのではないかと教授は考えています。 この点について、教授は村上春樹の作品を取り上げながら論じています。村上春樹の小説では、主人公が誰かと本質的につながる時には、電話やパソコン通信などのメディアを介していたり、主人公の身体が、壁などの物質的な境界や時空間を超えて移動したりする場合が多いことに、教授は着目していきます。そして、こうした村上春樹の小説が示唆するように、実際の空間において一緒にいなくても、私たちが本質的につながることは可能で、また、実際の生身の身体が存在していない状況でこそ、私たちは普段意識しているのとは異なる次元に開けていけるのではないかと、教授は述べています。 そのためネットによる心理療法も、一般的に批判されるような浅いレベルにとどまるものではなく、むしろ身体を伴った対面ではないという現実的なハンディがあるからこそ、本質的なつながりや深さを教えてくれるかもしれないと、その可能性に言及しています。

(解説:粉川尚枝 特定研究員)

 こころの最前線と古層(三六)「ネットと身体・異界」河合俊雄                            

 前回において、いかにネットによって心理療法の原則やあり方が良い意味でも悪い意味でも変わってきているかを述べた。それには、身体と場所の意味の変化が大きいように思われる。心理療法にとって、それが行われる相談室は聖地のような意味をもつ。それは治療原則によって守られた、日常とは区別された閉じられた時空間であるし、そこを訪れるのは巡礼のようでもある。だから身体でそこに赴くことや、そこに一緒に存在することが重要である。ところがネットでの心理療法が可能になると、そのような聖地を訪れるニュアンスはなくなるかもしれない。…(論考より)

出版社のページ(こちらから『究』の講読が可能です)https://www.minervashobo.co.jp/book/b471147.html

2019/08/01

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