こころの未来研究センター研究報告会2019「感情の科学」を開催しました
2019年12月15日、こころの未来研究センター研究報告会2019「感情の科学」を開催しました。
まず3名の研究者が報告を行い、続くポスターセッションでは、2019年にセンターが取り組んだ「教育プロジェクト」「研究プロジェクト」「実践活動」「社会発信」「一般公募プロジェクト」の研究成果を32枚のポスター発表で報告し、その後、ディスカッサントを交えて議論を深める形で進められました。
はじめに河合俊雄センター長が、「これまでは、こころの未来研究センターの内部の教員だけが報告を行ってきましたが、今年は新しい試みとして企画に合致した外部の先生をお招きし研究報告を行っていただく形式にしました。感情の科学について、今日の報告会が新しい流れを生み出す切っ掛けになれば良いと考えています。」と挨拶しました。
報告1では、中山真孝特定助教が、「こころを動かされることの科学」というテーマで、感動や畏怖・畏敬の感情により、価値観や人生観が動かされていることを、3つの実験結果から実証的に示しました。
報告2では、柳澤邦昭特定講師が、「期待から得られる幸せ」というテーマで、期待から得られる幸せに着目し実施した心理実験、Web調査、脳機能研究から、モノ消費よりもコト消費を期待する際に幸せな感情が促進するという結果等を報告しました。
報告3では、梅田聡教授(慶應義塾大学)をお招きし、「感情を生み出す脳と身体の相互作用」というテーマで、「脳-こころ-身体」の三者関係のダイナミクスの中で、情動や感情、および、それらと関連する精神症状等がどのように生起されるか等について発表をいただきました。
ポスターセッションの前に、当センターの研究者13名が、それぞれの研究プロジェクトについて1分間ずつダイジェストで紹介し、続いてそれぞれのポスターの前で、センター内外の研究者や学生らと活発にディスカッションを行いました。
3つの研究報告に対するディスカッサントには、鎌田東二京都大学名誉教授、吉川左紀子特定教授をお迎えし、登壇者、聴講者を交えた討論、質疑応答が行われました。
最後に、広井良典副センター長が「今回のテーマは、それ自体が自然科学的な基盤や社会、文化、宗教までおよぶ学際的な性質を持ち、様々な議論が展開され、エキサイティングで、こころの未来研究センターらしい分野横断的・文理融合的な報告会になって良かったと思います。」と挨拶し、2019年度の研究報告会を終了しました。司会進行は熊谷誠慈特定准教授が務めました。
〇参加者の感想(アンケートから抜粋)
・文理融合、フロンティア的で、どの先生のお話も大変エキサイティングでした。梅田先生のお話が分かりやすく、研究や活動をまっすぐな言葉で伝えていただきました。私にとってもプラスの感情いっぱいになる研究発表でした。
・専門外だったが、わかりやすく説明してくださって、とても興味深く楽しく聞くことができた。
・タイムキーピング、個別の研究テーマ、ひとつひとつの内容が適切にコントロールされており、飽きない時間だった。また、ディスカッション・梅田先生の内容も「こころ」に即した興味深いものだった。
・教室が小さかったので先生方との距離が近くて良かったです。発表自体も長すぎず、短すぎずちょうど良かったと思います。
・専門外の人間にとっても分かりやすい発表内容だった。
[DATA]
こころの未来研究センター研究報告会2019「感情の科学」
▽日時:2019年12月15日(日)9:30~13:20
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室(ポスター会場:大会議室)
▽対象:研究者、学生
▽参加者数:63名
2019/12/25