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『新潮』に、河合教授の論考「「一人称単数」の出会いと闇」が掲載されました

『新潮』2020年10月号に、河合俊雄教授の論考「「一人称単数」の出会いと闇」が掲載されました。教授は本稿で、村上春樹氏が2020年7月に新たに出版した短編集『一人称単数』を取り上げ、収録された各作品を基に論考を進めています。

教授は今回の短編集について、全体に共通するポイントとして、多くの作品の中で“日常の関係とは異なる一瞬の出会い”が描かれていることにまず注目しています。これまでの村上春樹氏の作品では、出会えなさや成就しない恋愛がテーマとされてきたのに対し、今回の作品では、深い出会いが一瞬であれ成就しており、またそこに介在する芸術作品も、これまで村上氏が強調してきた「物語」ではなくて、短歌、詩、音楽のような瞬間的なものになっていると、教授は述べています。

このように出会いが瞬間的なものであるからこそ、それに別れが伴うこと、またそれは“出会い損ね”とも紙一重であることを、教授は各作品にふれながら論じていきます。特に、「出会い損ねが、新しい出会いを生む」ことが描かれたいくつかの作品に注目し、「中心がいくつもあって、外周を持たない」という作品中の一節から、私たちの持つ“こころの古層”を教授は連想していきます。自分の知らない中心がいくつもあるからこそ、古典的な文学のように「永遠の女性や神といった固定したもの」を追い求めるのではなく、どの人とも魂のずっと深い場所で出会うような“深い出会い”が可能になるのではないかと教授は述べています。そして、その出会いが単にすばらしいものというわけではなく、恐ろしい面も持つこともこの短編集の作品には示されており、その興味深さにも言及しながら教授は論考を終えています。

(解説:粉川尚枝 特定研究員)

 

河合俊雄. (2020). 「一人称単数」の出会いと闇. 新潮, 117 (10), 230-231.

 

『新潮』のページ
https://www.shinchosha.co.jp/magazine/shincho/

 

村上春樹著 『一人称単数』の書籍ページ
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912394

2020/09/08

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