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第5回京都こころ会議シンポジウム「こころとコロナ危機」を開催しました

20212 21日、第5回京都こころ会議シンポジウムが、オンライン配信にて開催されました。公益財団法人稲盛財団からのご支援を受けて2015年に発足した京都こころ会議は、これまでに「こころと歴史性」(第1回シンポジウム)、「こころの内と外」(第2回シンポジウム)、「こころと共生」(第1回国際シンポジウム)、「こころと生き方―自己とは何か」(第3回シンポジウム)、「こころとArtificial Mind」(第4回シンポジウム)をテーマに、計5回のシンポジウムを行ってまいりました。

新型コロナウィルス感染拡大により、秋に予定されていた国際シンポジウムは来年度に延期となりましたが、現在の世界状況におけるこころを問うべく、今年度は「こころとコロナ危機」をテーマに掲げ、第5回京都こころ会議シンポジウムを開催することになりました。コロナ危機は、こころにどのような影響を与えるのか、こころにとってどのような意味があるのかを、医学、仏教学、心理学の異なる視点から考察しました。

シンポジウムでは、河合俊雄センター長による開会の言葉のあと、以下の3つの講演が行われました。

河合俊雄センター長

 

まず、山本太郎教授(長崎大学熱帯医学研究所)が、「Withコロナ時代の見取り図」と題した講演を行いました。講演では、まず、新型コロナウィルスを根絶することは既に不可能であり、重要なことは、医療崩壊や社会インフラの破綻を防いだ上で、新型コロナウィルスとどう付き合っていくかであるという問題提起がなされました。そこで山本教授は、「ウィルスの視点に立って」考えることを提案し、生存のために宿主を必要とするウィルスと人間とは、本来「共生」することで存在しているのだと述べます。最後に山本教授は、中世のペストなど、パンデミックがしばしば社会変革を加速させてきたことに触れ、情報技術の革新や国際協調、人口問題、環境問題等、現代社会を取り巻く種々の課題に取り組んで行くことが、「Withコロナ時代」の社会を考えていく上で鍵となるという見解を示しました。

山本太郎教授(長崎大学)

 

続いて、熊谷誠慈准教授(京都大学こころの未来研究センター)より、「仏教のこころ観から考えるコロナ危機」と題した講演が行われました。講演ではまず、仏教の「因」と「縁」の概念を用いて、生物学的危機が、新型コロナウィルスが「因」(主原因)となることで生じた問題であるのに対し、コロナ禍で発生した精神的・社会的・経済的・身体的な危機や社会的弱者が陥る危機は、新型コロナウィルスが「縁」(副次的原因)となって生じたものであり、ウィルスの根絶そのものよりも、人間の「こころ」の問題が大きいという見解が示されました。その上で、叡尊と忍性によるハンセン病患者の救済にまつわるエピソードが紹介され、自己と他者の弱さを受け入れる知恵を仏教から学ぶことで、コロナ危機におけるより良い生き方を考えることが可能になるのではないか、という提言が示されました。

熊谷誠慈准教授(京都大学)

 

3つ目の講演では、田中康裕教授(京都大学大学院教育学研究科)が「コロナ危機と心理療法」と題した講演を行いました。田中教授は、まず、東日本大震災後の心理療法において、震災それ自体をトラウマとする事例よりも、震災をきっかけとして個人や家族がもともと抱える脆弱性が顕在化する事例が多かったように、コロナ禍においても、コロナ禍をいわば「使う」事例が多く見られると指摘しました。田中教授によれば、オンラインセラピーの浸透や、学生による対人交流の回避など、コロナ禍以前から存在した時代精神の変化が、コロナ禍によって加速しているといいます。その上で田中教授は、折衷主義や融合主義など「一体性」を重視する日本人のこころは、宙吊りの状態への耐性を持つ一方で、決断不能性に陥りやすいという見解を示し、個人個人の決断に寄り添っていくことが心理療法家にとって重要になるのではないかと結論付けました。

田中康裕教授(京都大学)

 

これらの講演に続いて、河合俊雄教授を加え、講演者らによる総合討論が行われました。討論では、各講演に共通して見られた「共生」というキーワードをめぐって、ウィルスや自然と人間との共生について議論がなされた他、コロナ禍がもたらした新しい「近接性」の問題について意見が交わされ、それぞれの立場から見解が示されました。

総合討論の様子

 

最後に、時任宣博理事(京都大学 研究、評価、産官学連携担当 理事・副学長)より閉会の言葉をいただきました。当日の司会進行は内田由紀子教授が務め、344名の参加者にシンポジウムをご視聴いただきました。 
第5回京都こころ会議シンポジウムの講演内容は、近く当HPでも動画配信を行う予定です。

時任宣博理事

 

内田由紀子教授

 

 

 

[開催ポスター]

[DATA]
▽ 日時:2021221日(日) 13:3017:40
▽ 会場:Zoom開催
▽ 対象:研究者、学生、一般
▽ 参加者数:344

【関連URL
京都こころ会議
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/category/kyotokokoroinitiative/

【プログラム】
13:30
13:40 開会の言葉
        河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター センター長)
13:40
14:30 講演①「Withコロナ時代の見取り図」
        山本太郎(長崎大学熱帯医学研究所 教授)
14:30
15:20 講演②「仏教のこころ観から考えるコロナ危機」
        熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター 准教授)
15:20
15:30 休憩
15:30
16:20 講演③「コロナ危機と心理療法」
        田中康裕(京都大学大学院教育学研究科 教授)
16:20
16:30 休憩
16:30
17:30 総合討論
        山本太郎、熊谷誠慈、田中康裕、河合俊雄
17:30
17:40 閉会の言葉
        時任宣博(京都大学 研究、評価、産官学連携担当 理事・副学長)

主催:京都大学こころの未来研究センター
後援:公益財団法人 稲盛財団
共催:京都大学人社未来形発信ユニット

2021/04/07

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