【令和2年度 研究プロジェクト】ポスト成長時代におけるこころの問題と変容
研究課題 ポスト成長時代におけるこころの問題と変容
研究代表者 畑中千紘 京都大学こころの未来研究センター 特定講師
センター参画 河合俊雄 京都大学こころの未来研究センター 教授
広井良典 京都大学こころの未来研究センター 教授
熊谷誠慈 京都大学こころの未来研究センター 准教授
清家理 京都大学こころの未来研究センター 特定講師
①こころの非定型化現象についての実証研究
①-A発達障害と発達の非定型化に関する研究
参照枠とすべき「定型」や「標準」がなくなってきた現代においては、発達や病理が「非定型化」することによってさまざまな問題や症状が生じるようになってきている。さまざまな病理の軽症化、発達障害のグレーゾーンの事例の増加、人間関係の狭小化など、その現れは多様であるが、特に発達障害への臨床的アプローチや現代社会の非定型化現象の分析について検討を進める。
①-B現代を生きる人のアグレッションについての研究
・現代において要求を通したい場面や良心の呵責を感じる場面において、どのように主張性を発揮したり抑制したりするのかについて、アグレッションの表出の機会の変化、表出の仕方の変化などから検討する。2018年度には大学生を対象として身体・精神の健康状態と攻撃性の関連について検討したが、2019年度はこれに引き続き現代社会における適応的な主張と非適応的な攻撃性のスペクトラムを明らかにすることを目的とする。
②こころの古層と現代の意識研究会
①の研究計画と並行し、「こころの古層と現代の意識研究会」として研究会やセミナーを開催する。これは①の研究活動を支えると共に、社会還元の基盤ともなるものである。(年3回、部門の研究者が参画予定)。
こころの古層と現代の意識の関連について講演、議論を行い、知見を深めていくが、招聘予定の研究者は、心理学以外にも精神病理学、精神医学、民俗学、人類学、哲学等の領域から、現代的なこころの問題や症状あるいはこころの古層に関連する知見をもった専門家である。これらの研究会の成果については蓄積の後、論文あるいは書籍、一般紙への寄稿等によって発表していく。
これらの成果を適宜、学術媒体や書籍、ウェブサイト等を通じて発表すると共に、講演や啓発活動を通して社会に伝えていく。