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【令和2年度 一般公募プロジェクト】発達障害の認知機能障害と、心理社会的要因・身体環境的要因との関連の検討

研究課題      発達障害の認知機能障害と、心理社会的要因・身体環境的要因との関連の検討

研究代表者     後藤幸織    京都大学霊長類研究所 准教授

本センター担当教員 上田祥行    京都大学こころの未来研究センター 特定講師

連携研究者     小川詩乃    子どもの発達・学習支援研究所 研究員

共同研究者     浅岡由衣    京都大学霊長類研究所 前期博士課程
          金子杏日香   京都大学霊長類研究所 前期博士課程
          Srishti Tripathi  京都大学霊長類研究所 後期博士課程

 発達障害を持つ子どもは、その症状から社会生活を送る上で様々な困難を持つ。これらの困難は、発達障害の症状を引き起こしている脳機能障害の改善そのもののみならず、まわりをとりまく環境に適応できるように行動を改善すること、及びまわりの環境そのものを改善することで解消可能である。しかし、現在、そのような脳機能障害を改善するための治療や、行動を環境に適応させるような支援、特性に合わせた環境改善を効果的に行うための発達障害に関する基礎的な知見はまだ集まっていない。本研究では、発達障害の脳機能障害と心理社会的要因や身体環境要因との関連を調査、解析し、その治療や支援の確立に応用することを目的とする。
 発達障害による社会的困難の原因として主に2つのことが考えられる。1つは、社会的情報処理や認識そのものの問題、もう1つは、周りの全般的な環境情報処理の問題により二次的に引き起こされるもの、である。そこで、本研究では、「心理社会的要因と身体環境要因の影響」という2つの観点から、調査、解明を試みる。
 心理社会的要因の影響の調査では、これまでの発達障害における社会コミュニケーション問題を扱った研究においてほとんど考慮されて来ていない、社会的順位の認識や社会的繋がりの種類(例えば、親兄弟などの肉親の認識と一度も会ったことのない他人の認識の相違など)などの社会的文脈の認識とその情報処理に関わる脳神経基盤にどのような障害が見られるかを解明する。
 身体環境要因の影響の調査では、多動等の支援の対象となる身体現象と発達障害との関連を解明する。例えば、多動は、大脳皮質の活動を増加させそのことによってワーキングメモリ障害を補う代償行為であるという報告があることから、こうした臨床における介入や評価の対象となる身体現象について、神経生理過程の知見との関連性を詳しく検討することは、効果的な臨床支援を開発することが今後極めて重要な課題となる。

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