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『心身変容と医療/表現~近代と伝統』に、河合教授の論考「心理療法における暴力の浄化とその危険-ユングの体験から」が掲載されました

『心身変容と医療/表現~近代と伝統』に、河合俊雄教授の論考「心理療法における暴力の浄化とその危険-ユングの体験から」が掲載されました。

本書は「身心変容技法シリーズ」の第3巻で、京都大学名誉教授の鎌田東二先生を研究代表者として、2011年に始められた身心変容技法研究の成果をまとめたものです。身心変容技法とは、「身体と心の状態を当事者にとって望ましい理想的な状態に切り替え、変容・転換させる知と技法」であり、古来、宗教や芸術、武道、芸能など諸領域で編み出されてきたものです。本書では、現代の私たちの生き方に示唆を与えるワザ(技術と知恵)として、この「身心変容技法」が着目され、芸能・シャーマニズムに加え、マインドフルネス、医療、心理療法、精神医学、神経科学等とも関連させながら、多領域の専門家の論考が掲載されています。

河合教授は、臨床心理学・ユング派分析家の立場から、前近代の能のような癒しの技法が、共同体や異界にまで広がるこころを前提としていたことにふれ、現代においても、社会全体や死者に関わるような課題には、全ての心理的な問題や葛藤を個人に帰属させるようなこころの理解では限界があるのではなかろうか、と問題を提起しています。その上で、ユングが第一次・第二次世界大戦時に体験した二つの精神的危機を取り上げ、自身の臨床経験や東日本大震災後の人々のこころの反応と回復過程とを重ねながら、個人を超えた災害や事故を個人的な問題とは区別し“霊的暴力”として捉える視点を提示し、現代においてこの霊的暴力を浄化することの意味と難しさについて論じています。

(解説:粉川尚枝 特定研究員)

 

河合俊雄. (2021). 心理療法における暴力の浄化とその危険-ユングの体験から. 心身変容と医療/表現~近代と伝統. 日本能率協会マネジメントセンター. pp.278-286.

 

〔構成〕
はじめに
1. 霊的暴力と前近代の癒し
2. 個人的暴力と霊的暴力
3. 第一次世界大戦と『赤の書』
4. 第二次世界大戦と臨死体験

 

〇書籍データ
心身変容と医療/表現~近代と伝統
編:鎌田東二
出版社:日本能率協会マネジメントセンター(2021年)
単行本: 624ページ
ISBN-13: 978-4-8207-2898-6

2021/03/19

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