【一般公募型連携研究プロジェクト】1型糖尿病患者の療養に影響する心理的要因の検討
研究代表者
藤本新平 高知大学医学部 教授
連携研究員
稲垣暢也 京都大学大学院医学研究科 教授
岡田泰助 もみのき病院 副院長(高知県高知市)
共同研究員
池田香織 京都大学大学院医学研究科 研修員
高原志保 京都大学大学院医学研究科 研修員
高田浩史 高知大学医学部 助教
センター受け入れ教員
内田由紀子 京都大学こころの未来研究センター准教授
(一般公募型)
1型糖尿病は膵臓からのインスリン分泌が絶対的に不足することにより、血糖値が上昇する疾患であり、現時点の医学では根治することは不可能である1)。糖尿病の9割以上を占める一般的な糖尿病(2型糖尿病)と異なり、小児期や若年において診断されることも多い。患者は一度診断されると生涯療養を続けなくてならず、病気の受け入れを含めた心理的要因が療養の成否に大きく影響を与える。当然、心理的側面に対して、診断初期からの医療者の対応が重要となるが、この領域における知見は不足している。
診療ガイドライン(本邦、欧米ともに)においても、この領域の重要性は指摘されているが、具体的な指針は整っていない2, 3)。特に病気の受け入れについては、診断時の病名告知とそれに伴う説明が重要であると推測されるが、癌患者に対する告知指針4)に該当するような指針は、糖尿病では未整備である。専門の医療施設で診断を受けることが多い癌とは異なり、糖尿病の場合は一般医から告知を受けることも多いため、指針の整備と普及は重要である。
そこで、本研究では患者の心理状態と問題点をまずは質的に検討し、1型糖尿病の特に診断時における医療者の適切な対応を検討する基礎資料とする。
1)『糖尿病治療ガイド<2010>』日本糖尿病学会編
2)『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010』 日本糖尿病学会編
3)Standards of Medical Care in Diabetes–2012. Diabetes Care 35:S11-63, 2012
4)SPIKES―A six-step protocol for delivering bad news: application to the patient with cancer. Oncologist 5:302-311, 2000
2012/06/11