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【教員提案型連携研究プロジェクト】身体疾患・症状に関する心理療法の研究 (『自然とからだ』領域)

【平成26年度 教員提案型連携研究プロジェクト】身体疾患・症状に関する心理療法の研究 (『自然とからだ』領域)
研究代表者
河合 俊雄  京都大学こころの未来研究センター 教授
連携研究員
野間 俊一  京都大学医学研究科 講師
田中 康裕  京都大学教育学研究科 准教授
田中 美香  隈病院 心理士
金山 由美  京都文教大学臨床心理学部 教授
桑原 晴子  岡山大学大学院教育学研究科 講師
深尾 篤嗣  茨木市保健医療センター センター長
長谷川 千紘 京都文教大学 講師
センター参画
畑中 千紘  京都大学こころの未来研究センター 特定助教
梅村 高太郎 京都大学こころの未来研究センター 研究員
                                    (教員提案型)
 当センターはこれまで,一連の甲状腺疾患研究プロジェクトを企画し,甲状腺専門病院での心理検査と半構造化面接を用いた調査を中心として研究を行ってきた。その研究成果を通じて,甲状腺疾患患者の心理的特徴を明らかにするとともに,従来純粋な身体疾患として考えられてきた甲状腺疾患患者に対しても心理的アプローチの必要性や有効性があることを明らかにしてきた。本プロジェクトは,これら一連の研究をさらに発展させ,甲状腺疾患にとどまらない身体疾患一般や広い意味での身体症状に対して有効な心理療法的アプローチを,「語り」と「イメージ」という観点に注目して検討しようとするものである。
 近年は,いわゆる心身症疾患だけでなく,小児科や産婦人科,ターミナルケア,遺伝子診療など,さまざまな分野において臨床心理学的な視点が求められるようになってきている。しかし,現状での身体疾患治療における臨床心理学的アプローチは,疾患受容を目指した心理教育やストレスケアなどの一面的・限定的な方法が中心で,人間全存在への配慮と関心をもって語りに耳を傾けるという心理療法本来の姿勢とは遠く隔たったものが多い。一方で,これまで報告されてきた身体疾患の心理療法の事例研究からは,症状やストレスへの対処にとどまらず,他の神経症などの精神疾患の場合と同様,きわめて個別的な物語が展開していくことが示されている。特に,「箱庭」や「夢」などのイメージを用いた心理療法は,その身体性とこころの変容のプロセスに重要な役割を果たす可能性が示唆されている。
 そこで,本プロジェクトでは,「語り」と「イメージ」という観点から,身体疾患をはじめ広く身体症状を示す者の特徴に応じた,理解と対応のための工夫やポイントを明らかにし,個別性へと目を向ける心理療法本来の姿勢の重要性を改めて提示していこうと考えている。さらに,身体疾患や身体症状を抱える者との心理療法をベースとして,身体とこころのつながりとその変化のプロセスについても検討を進めていく。
 本研究で得られる,従来の限定された役割にとどまらない身体疾患患者への心理療法の可能性と有効性を,心理学・医学の専門家に発信することによって,身体疾患や身体症状に対するより良い援助体制の構築が可能になると考えられる。

2014/08/29

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