【教員提案型連携研究プロジェクト】東アジア地域におけるメディア芸術の特性に関する研究
【平成28年度 教員提案型連携研究プロジェクト】東アジア地域におけるメディア芸術の特性に関する研究
研究代表者
吉岡 洋 京都大学こころの未来研究センター 特定教授
連携研究員
室井 尚 横浜国立大学 教授
ヨス・デムル エラスムス大学
(教員提案型)
「メディア芸術」とは、文化庁が1997年以来開催してきた「メディア芸術祭」によって一般化した名称であるが、それは伝統的な「芸術」概念には収まりきらない新たな芸術表現のジャンルを名指すものと考えられる。それに従えばこの概念がカバーする具体的範囲は、メディアアート、マンガ、アニメあるいはアニメーション、ゲームを始めとするエンタテインメント文化、の4部門である。これらの文化は今や、世代を問わず多くの人のこころのあり方や世界観に大きな影響を与えている。
従来メディアアートは現代芸術の一部とみなされ、それに対し他の領域は「芸術」ではなく「ポピュラーカルチャー」とみなされることが多かった。「メディア芸術」という括り方は、そうした区分が現代においてはもはや成り立たないことを示しているとも考えられる。実際、芸術の中にはポピュラーカルチャーの影響が深く浸透しており、またポピュラーカルチャーは今やきわめて多様な受容層に応じて特殊化し、「ポピュラー」とは言っても、万人に共有され誰でも分かるようなものではなくなってしまった。こうした発展は、芸術に関する近代的な価値規範がいまだに強く残る欧米においてよりも、非欧米圏においての方がより際だって認められ、とりわけ日本を含む東アジア地域において、独自の展開を示しているように思われる。
本研究の目的はそうした東アジア地域のメディア芸術を記述し分析することであり、そのことによって最新の芸術表現をより適切に理解し、またその活動を促進するという効果が期待される。
2016/04/27