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【教員提案型連携研究プロジェクト】見えない人々による美術表現に関する研究

【平成28年度 教員提案型連携研究プロジェクト】見えない人々による美術表現に関する研究
研究代表者
 吉岡 洋  京都大学こころの未来研究センター 特定教授
連携研究員
 伊藤 亜紗  東京工業大学 准教授
 大久保 美紀 パリ第8大学 講師
共同研究員
 小寺 里枝  京都大学大学院文学研究科 大学院生
                    (教員提案型)
もしも美術表現が常識的な意味での「見えること」、つまり視覚の存在を前提とし、その上に成り立つ活動であるとすれば、視覚を失った人々にとって美術的表現は意味を持たず、そもそも不可能であるということになる。けれども実際には、生まれつきあるいは中途から失明した人々の行う美術表現の例はけっして少なくない。にもかかわらず、そのことを適切に説明しうる研究はいまだ存在しないと言ってよい。
 見えない人々の美術表現は、それらが美術表現であるかぎり、見える人々つまり晴眼者による観察・鑑賞をも前提しており、単純に「視覚の代わりに鋭敏化した触覚を用いた表現である」等と考えることはできないのである。そうした考え方が見えない人々の美術表現をめぐる認識や言説をいわば囲い込んでおり、まさに現実を見えなくしていると考えられる。
 本研究は、美術表現という行為に着目しつつ、「見えること」と「見えないこと」についての認識、言語記述、それを取り囲む社会的文脈を問い直すことを目的とする。この問題をめぐる基礎的・理論的な探究を行うと同時に、見えない人々の美術表現の実例に即した実地研究を行う。
 本研究によって、見えない人々による美術表現が、見えない人々にとってだけの問題ではなく、美術一般とその受容に関する基本的な理解を拡張することが期待できる。

2016/04/27

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