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【平成30年度 研究プロジェクト】こころの豊かさとその逆説性:心理療法にみられるこころの変化とその波及

研究課題
こころの豊かさとその逆説性:心理療法にみられるこころの変化とその波及

研究代表者
河合俊雄 京都大学こころの未来研究センター 教授

連携研究員
田中康裕 京都大学教育学研究科 准教授
鈴木優佳 京都大学教育学研究科 助教
梅村高太郎   京都大学大学院教育学研究科・講師

センター参画
畑中千紘 京都大学こころの未来研究センター 特定講師
粉川尚枝 京都大学こころの未来研究センター 研究員

「こころの豊かさ」には右上がりの成長イメージでとらえられるようなポジティヴな変化と同時に、負の状態からの回復によって得られる豊かさも存在する。また、一見ポジティヴな変化があったとしてもそれを補償するようにネガティヴな変化が生じていることもあり、「こころの豊かさ」とはある種の逆説性を孕むものと考えられる。
特に、穏やかな平常状態を幸福と感じやすい日本人にとっては、負の要素が生み出す豊かさの価値は大きい。「二つ良いことさてないものよ」というように、良いことと悪いことは等しく生じるものだという見方は日本人になじみが深く、自然災害状況で人々の行動が利己的にならない傾向もこうした逆説性を含む世界観と関連しているといえよう。
「こころの豊かさ」を負の状態からの変化・回復として捉え、心理療法事例をメタ視点から量的に分析することによって、実際にどのように人の心が変化していくのかについて可視化することを試みる。
本プロジェクトでは、パイロットスタディで明らかにされた評価視点を洗練させ、終結した心理療法事例のメタ分析を実施する。こうした方法論により守秘義務に抵触せずに個人内で生じる心の変化のポイントを明らかにすることが可能になるだろう。同時に、個人内で生じた変化がどのように現実や他者に波及するのか【豊かさのcoherence】についても検討を行っていく。

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