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  4. 日本人2型糖尿病患者における療養指導効果の検討

日本人2型糖尿病患者における療養指導効果の検討

研究代表者
藤本新平 高知大学医学部 教授
連携研究員
稲垣暢也 京都大学大学院医学研究科 教授
共同研究員
池田香織 京都大学大学院医学研究科 博士課程
高原志保 京都大学大学院医学研究科 博士課程
センター受け入れ教員
内田由紀子 京都大学こころの未来研究センター准教授
                                            (一般公募型)
 糖尿病患者に対する療養指導の成否は治療アウトカムに大きな影響を及ぼす。しかし現行のガイドラインには指導方法に関する記載が乏しく、経験に基づいて指導されることが多い ⅰ)。アメリカでは糖尿病療養指導士の9割がエンパワメント理論を用いて指導しているが ⅱ)、エンパワメントとは患者が自らの行動を自ら決定し変えてゆくために援助する方法である。
 文化心理学における相互独立性と相互協調性の考えによると ⅲ)、アメリカ人は「自分の目的を設定し、その目的を達成するための計画を立て、その計画に従って環境を変えるべく動く」とされ、このような人が好ましい療養行動を「選ぶ」ための援助として、エンパワメントは特に有効であることが推測される。一方日本人は、「環境にあわせるべく自分を調整する」ことが多く、「調和的かつ適合的」な行動をとるとされる。このような人の療養行動を援助するためには、周囲の関係性を考慮に入れたほうが有効である可能性が高い。
 我々は日本人とアメリカ人の2型糖尿病患者を対象とした研究により、日本人患者の療養行動には周囲からの情緒的サポートの効果がアメリカ人患者より高く、日本人の協調性の高さが糖尿病による負担感につながっていることを確認した ⅳ,ⅴ)。
 次にこのような日本人糖尿病患者において、情緒的サポートを高めるような指導が有効であるかどうかを検証することにより、今後の指導ガイドラインに大きく寄与することが期待される。
ⅰ) 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン[第2版] 日本糖尿病学会
ⅱ) Funnell MM, et al. A study of certified diabetes educators: Influences and barriers.
   The Diabetes Educator 32:359-337,2006
ⅲ) 『木を見る西洋人 森を見る東洋人』Richard E.Nisbett, 村田由紀子訳
ⅳ) 池田香織、藤本新平、内田由紀子、高原志保、Carroll,Andrew、Morling,Beth、稲垣暢也
   日本人における相互協調性と情緒的サポートが糖尿病療養アウトカムに与える影響―文化心理学的側面からの検討 第54回日本糖尿病学会年次学術集会(予定)
ⅴ) Ikeda,K.,Fujimoto,S.,Uchida,Y.,Takahara,S.,Carroll,A.,Morling,B.,&Inagaki,N.
   Impact of Cultural Views of Self and Percerved Emotional Support on Diabetes Self-care Outcomes The 71st Scientific Sessions of American Diabetes Association(予定)

2011/07/12

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