利他主義の進化認知科学的基盤

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（一般公募型プロジェクト）
研究代表者
小田亮　名古屋工業大学大学院工学研究科　准教授
連携研究員
松本晶子　沖縄大学人文学部　教授
センター参加教員
平石界　こころの未来研究センター　助教
　血縁関係にない他人どうしの「きずな」がもたらすこころのはたらきとして、人間の利他性がある。私たちは、時に身を挺して他人を助けることをも厭わない。このような人間の高度な利他性は、どのような至近的要因によって支えられているのだろうか？そもそも利他主義者は裏切り者に搾取される危険性が高いが、利他主義者どうしが互いを検知し、選択的に関係を形成できれば、高度な協力社会が発展する可能性がある。そこで本研究では、社会心理学的な実験方法を用い、実際の金銭を用いた取引において、利他的な傾向のある人物の顔はそうではない人物よりもよく記憶されているのかどうかについて明らかにする。また、同情という感情は利他行動を促進し、互恵的な関係を作り出すという機能があると考えられている。そこで、どのような特徴をもった人物について同情を感じるのかということを調べることにより、同情の進化的機能について明らかにする。今回期待される成果は、人間の利他行動を軸として、その究極要因と資金的要因を結びつけるものであり、進化生物学と認知科学の枠を超えた総合的なこころの理解につながると考えられる。

2009/04/21