利他主義の進化認知科学的基盤

研究代表者
小田亮　名古屋工業大学大学院工学研究科　准教授
共同研究員
丹羽雄輝　名古屋工業大学大学院工学研究科　修士課程
センター受け入れ教員
平石界　京都大学こころの未来研究センター　助教
血縁関係にない他人どうしの「きずな」がもたらすこころのはたらきとして、人間の利他性がある。私たちは、時に身を挺して他人を助けることをも厭わない。このような人間の高度な利他性は、どのような至近的要因によって支えられているのだろうか？昨年度のプロジェクトにおいて、実験的状況における利他性の発現には目の絵が影響しているが、鏡の影響についてはそれほど大きくないことが明らかになった。しかしながら、鏡のサイズを大きくすれば、より強い効果が得られると予測される。また、利他性の知覚に関しては、非利他的な人は覚えられやすいが、一方で利他的な人はあまり覚えられていないことが明らかになった。しかし、これはあくまで反応の変化をみたものであり、顔そのものが覚えられていたかどうかを調べたものではない。本研究では、昨年度の研究で浮かび上がったこれらの課題について追求する。得られた結果から、人間の本性としての利他性が持つ特性を明らかにし、人間の利他性をより引き出すことができる未来の環境づくりについて提言できることが期待される。

2010/04/28