進化と文化とこころ:生物的視点と社会的視点からこころを探る
(『自然とからだ』領域)
研究代表者
平石界 京都大学こころの未来研究センター 助教
連携研究員
竹村幸祐 京都大学経営管理大学院 助教
センター参画
内田由紀子 京都大学こころの未来研究センター 准教授
(教員提案型)
「人間」、「ヒト」、「人」、「人物」、human, human-beings, humankind, person, people、 homo-sapiens, など人間という存在を表す語は多様に存在する。そして、これらの語から想起される「こころ」のありよう~「人間のこころ」「ヒトのこころ」「人物のこころ」~もまた、多様だろう。こうした人間存在の多様性を理解するには、一つには人間を「生物の一種としてのヒト」として、すなわちヒト以外の“自然”と同じ水準で見る視点が必須である。他方で、人間社会が作り出す文化、すなわち“きずな”によって生まれる人間という視点もまた必須である。後者の視点は、文化という人工物の中に置かれた人間を理解する視点と言うこともできる。
これら二つの視点は、いわば「自然」と「人工」という意味で、相反する視点のように考えられることが多い。しかし文化もまたヒトの作り出したものであるとすれば、両者は究極的には統合的な理解が可能なはずである。
本研究プロジェクトでは生物学的な視点からヒトを見る「進化心理学」と、文化という視点からヒトを見る「文化心理学」の知見を統合的に理解する枠組みを、研究者同士の交流を通じて探ることを目的とする。そのことを通じて「人間のこころ」を総合的に理解する視点を得ることが期待される。そうした視点から得られた人間存在への知見は、山積する社会問題・環境問題への対処法を探る上での、重要な基礎知識となることが期待される。
2011/06/23