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研究年報『モノ学・感覚価値研究』第7号が刊行されました(全頁ダウンロード可能です)

130412monogaku.png 鎌田東二教授が代表研究者を務める「モノ学・感覚価値研究会」の研究年報『モノ学・感覚価値研究』第7号が刊行されました。

 2006年に発足した本研究会は、「モノ学の構築―"もののあはれ"および"もののけ"から"ものづくり"までを貫流する日本文明のモノ的創造力と感覚価値を検証する」を正式名称および副題とし、「『モノ』と人間、自然と人間、道具や文明と人間との新しい関係の構築可能性」をみつめ、「人間の幸福と平和と結びつく『モノ』認識と『感覚価値』のありようを探りながら、認識における『世直し』と『心直し』をしていく」ことを大きな目標としています(研究紹介より)。

 上記目標を素地に、多様な専門分野を持つ研究者や芸術家、宗教家らを研究メンバーに毎年研究会と研究調査合宿を重ね、2010年には広く一般に向けての発信として国際シンポジウム、展覧会、ワークショップ等を開催しました。その後も、モノと感覚・価値に関する研究の議論は多方面への広がりと深まりを見せ、2011年の東日本大震災を機にさらなる研究視座の発展へと進んでいます。

 以下、鎌田教授による研究年報第7号刊行にあたっての言葉です。

『モノ学・感覚価値研究』第7号刊行に際して――鎌田東二

PC153113.JPG 『モノ学・感覚価値研究』第7号は、2011年4月に立ち上げた東日本大震災にかかわる研究プロジェクト「震災関連プロジェクト~こころの再生に向けて」において開催した三つのシンポジウム・研究会の全記録を収めた。(中略)
 本号では、この震災関連の記録以外に、鎌田東二「『こころの練り方』探究事始め その三─ 南方熊楠の『心理学』を中心に」、大西宏志「モノ学・感覚価値研究会アート 分科会/京都大学こころの未来研究センター連携プロジェクト2012年度活動報告」、 渡邊淳司「アブダクションによる世界認識とコスモロジーの改編」、上林壮一郎「グラデーションという現象とデザイン表現についての一考察」、須田郡司「石の聖地の比較研究」、 秋丸知貴「『象徴形式』としての一点透視遠近法 ─ 『自然』概念の変遷を手掛りに」の各論考を収めた。
「3・11」後の状況は厳しい。事故を起こした福島原発をどうするのか、また日本国内 の原子力発電所を中長期的にどのようにしていくのか、その議論も政策も方向性も迷走したまま、なし崩し的に経済復興・景気回復の掛け声の中に埋没しつつある。未来社会のグランドデザインも描けないまま。しかも、これまでには考えられなかったような気象現象が各地に現れてきている。すべてが事後的に「想定外」「前代未聞」とされ、根本的な解決がなされないまま、目の前に山積する短期的な課題が優先されている。先送りされた問題と課題は巨大で、どこから、どう手をつけていったらいいのか、この巨大文明システムを前にしてなすすべを見失っている。
 そのような時には、やはり、歴史軸を基軸としてものを考える必要がある。空間的な諸問題が歴史的な課題としてどのように処理されてきたか、対応されているか、またどういう方向に据えられるべきか、大まかなアウトラインを描く必要があるだろう。そうした折に、たとえば南方熊楠や宮沢賢治が対峙し構想しようとしたことなどを再度考えてみることには大きな深い意味があるだろう。今、あらためて、南方熊楠や宮沢賢治のような未来透視型の思想と行動が問われていると思う。
 本『モノ学・感覚価値研究』も、そのような歴史基軸に添いつつ未来を構想するミッションをもって始められた。この研究プロジェクトの正式タイトルと副題は、「モノ学の構築 ─ "もののあはれ"および"もののけ"から"ものづくり"までを貫流する日本文明の モノ的創造力と感覚価値を検証する」というものであった。わたしたちは、この研究プロ ジェクトを2006年4月にスタートさせた。それから7年が経った。これから先の問 題を再度正面から見据えて対処していく必要があるだろう。
 【謝辞】本『モノ学・感覚価値研究』第7号は、京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門の助成を得て刊行された。上廣倫理財団には心より感謝申し上げたい。

(年報より抜粋)

 年報の目次は次の通りです。下記リンクよりダウンロードのうえ全てお読みいただけます。


研究年報『モノ学・感覚価値研究』第7号 <目次> ダウンロード(PDFファイル)

『モノ学・感覚価値研究』第7号刊行に際して 鎌田東二 ●001

第1部  こころのワザ学
第一章 「こころの練り方」探究事始め その三 南方熊楠の「心理学」を中心に 鎌田東二 ●002

第2部  震災とモノ学アートの試み
第一章 モノ学・感覚価値研究会アート分科会/京都大学こころの未来研究センター連携研究プロジェクト 二〇一二年度活動報告 大西宏志 ●013
第二章 アブダクションによる世界認識とコスモロジーの改編 渡邊淳司 ●029

第3部  モノ学の展開
第一章 グラデーションという現象とデザイン表現についての一考察 上林壮一郎 ●032
第二章 石の聖地の比較研究 須田郡司 ●044
第三章 「象徴形式」としての一点透視遠近法―「自然」概念の変遷を手掛りに 秋丸知貴 ●054

第4部  東日本大震災「こころの再生に向けて」シンポジウム記録
第一章 京都大学シンポジウムシリーズ『大震災後を考える』―安全・安心な輝ける国作りを目指してⅣ「大震災後の『心のケア』を考える」災害と宗教と「心のケア」―東日本大震災 現場からの報告と討議 島薗進+玄侑宗久+稲場圭信+金子昭+河合俊雄+内田由紀子+鎌田東二 ●063
第二章 第二回東日本大震災関連シンポジウム 災害時における宗教的ケアと宗教的世直し思想について 鈴木岩弓+金子昭+稲場圭信+島薗進+井上ウィマラ+鎌田東二 ●097
第三章 第三回東日本大震災関連シンポジウム こころの再生に向けて 玄侑宗久+島薗進+稲場圭信+黒崎浩行+一条真也+井上ウィマラ+鈴木岩弓+鎌田東二 ●134

書評 ●012
新聞掲載記事 ●096 ●133 ●168

(発行日 平成25年3月29日)


□モノ学・感覚価値研究会のホームページ
http://mono-gaku.la.coocan.jp